塔ノ沢
ホームの両端をトンネルに挟まれているその姿は小幌駅を彷彿とさせる関東屈指の秘境駅である。
駅から人里へと通じる道は森の中を通じる細く長い階段のみでホーム上からは山中へ通じる道が伸びているが決して足元が整備されているとは言い難い状況である。
そんな沢のほとりの小さな駅の片隅に提灯を提げた木製の入口がある。
深沢銭洗弁財天と呼ばれるその社寺はパワースポットとしても有名で硬貨を洗うためのザルや奥には洞窟があり白蛇が祀られていたりととても駅とは思えない空間で神を祀る山であることを改めて実感させられる。そこは駅から徒歩0分の異世界と呼ぶに相応しい場所であった。
今日も小さな列車は箱根の神に見守られ山を登っていく。